嘘も孤独も全部まとめて
「もーっ!ちゃんと見てよ!」


真っ赤な下着を身につけた杏里紗が、勢いよくカーテンを開いた。


「ちょっ…、おいっ!」


羞恥心という言葉はないのか。


そのまま試着室から出てきて、俺の腕にしがみつく。


「ちゃんと見てってば」


「客とか店員とか、他の目があるだろ」


腕を振って引き離そうとするも、両腕で力一杯しがみついているのでなかなか離れない。


「他の客なんて居ないし!だから店員にお願いして因幡さん連れてきてもらったんじゃん!」


いや…もう言っていることが滅茶苦茶だ。
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