嘘も孤独も全部まとめて
「失礼いたしました」


苦笑いしながら謝る店員。


「いえ…。元はと言えばコイツのせいなんで」


「えーっ、何?何であたしのせいなんだよ」


「迷惑だから早く服着ろって」


「ってことは、これ買っていいってことだよね?すみませーん。これとこれの色違い全部下さい!」


「おい、ちょっ…」


言葉に詰まっていると、店員が俺の方をジッと見た。


「え…いや、あの――…」


杏里紗も、頭から服を被るように着て俺を見ている。


「買っちゃダメ?」


「……いや、駄目…ではない、けど…」


俺がそう言うとそのまま素早く会計を済ませ、嬉しそうに袋を腕に提げた。
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