嘘も孤独も全部まとめて
「お腹空いたー」


杏里紗の言葉に時計を見てみる。

もう昼を過ぎていた。


「そうだな…。何食いたい?」


「因幡さんとなら何でもいいよ」


「何だよ、それ。一番めんどくさいやつじゃねーか」


そういう奴に限って、食べたい物を言うと『それはちょっと…』と否定しやがる。

結局、食べたい物が決まっているのが相場だ。


「ホントに何でもいーの。ラーメンでも中華でもフランス料理でも」


「フランス料理は……ないな…」


フフッと笑う杏里紗。

大したこともしていないのに上機嫌だ。
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