嘘も孤独も全部まとめて
「で、話ってのは何だ?」


車窓に肘をつき、安藤を見た。

チラリと横目で俺を見て、ため息を吐く。


「何よ、いきなり」


「目的はそれだろ。できるなら早く帰りたい」


「…早く帰らなきゃいけない何かがあるわけ?」


含みを持たせる言い方。

安藤が何をどこまで知っているのか。

変にこちらから仕掛けるわけにはいかない。


「…いや、……別に」


「そ。じゃあ、なるべく早く帰る方向で考えとくわ」


口元を引き上げるのが視界の端で見える。

頬杖をついたまま顔を反対側へ向け、窓の外を眺めた。
< 232 / 514 >

この作品をシェア

pagetop