嘘も孤独も全部まとめて
車道と歩道を分ける真っ白い防護柵が次々と流れ、海を隔てた向こう側にある家々もあっという間に視界の端から消えていく。


…こんなにも自分が早く家に帰りたくなるなんてな…。


寝るためだけに借りた今の部屋。

誰かと過ごすようになるなんて考えもしなかった。


「そんなに彼女のことが気になる?」


「は?」


再び安藤に視線を戻す。

飲んでいる時以外の安藤は無表情に近く、何を考えているのか読み取りにくい。


「アリサちゃん。因幡くんにとって大事な存在みたいね」


「はっ…。ないだろ」


「前の貴方ならね。貴方が離婚して以降、そんな風に誰かに執着することなんてなかったし」
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