嘘も孤独も全部まとめて
「ずいぶんと、俺のことを知ってる風な言い方だな」


「そりゃそうでしょ。何年一緒に居ると思ってるのよ。私は、誰よりも一番近くで因幡くんを見てるもの」


「…まあな…」


上司の愚痴、同僚の話題、近況報告。

本部と所轄という違いはあれども、同じ県警内で勤務する俺達にとって共通の話題は多く、同期ということもあって気心の知れた間柄だ。


「だけど、お前の知ってる俺だけが俺じゃない」


「…ま…確かに、因幡くんが奥さんに見せていたような一面は見たことがないけどね」
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