嘘も孤独も全部まとめて
「ずっと泣いてたのか?」


「…ん。寂しかった」


「そうか…。ごめんな」


「へへっ…。でも、ちゃんと帰ってきてくれたからいーや」


ちゃんと誤魔化せたかな。

ちゃんと信じてくれたかな。


因幡さんは警察官だから、多少の嘘はすぐにバレるかもしれない。


女優にならなきゃ。

演技で因幡さんを騙さないと。


上半身を起こしてベッドに座る。

両手で目尻の涙を拭って笑顔を作った。


「晩飯、何か食べに行くか?」


ベランダを見ると、外はもう薄暗い。
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