嘘も孤独も全部まとめて
「行こっ!」


因幡さんの横をすり抜け小走りで玄関を目指す。


こんな風に優しくされたら、あたし明日から生きてけないよ…。


嬉しいはずの触れ合いも、明日からのことを考えるとツラくなる。


「杏里紗?」


サンダルを履いていると、後ろから声を掛けられた。


「何?」


振り向かずに返事をする。


「お前…おかしいぞ」


もしかしてバレた?


そう思うけど、ここでやめるわけにはいかない。


「何がおかしいの?」


振り返ってニコッと笑うと、因幡さんは首を捻った。
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