嘘も孤独も全部まとめて
()っま!」


狭くて料理を置ける場所がないのでテーブルに運んでもらっていたら、部屋から因幡さんの大きな笑い声が聞こえてくる。


「しょっ、しょうがないじゃん!だって作り方なんて覚えてないんだからさっ!」


せっかく因幡さんに美味しいご飯を食べてもらおうと思ったのに、あたしの料理の腕じゃ無理だ…。


じわりと滲む涙。


「まーた泣いてる」


腰に手を回され、背後から抱き締められた。


「ここに来た時の勢いはどうしたよ」


耳にかかる息。


「やっ」


背中がゾクゾクして、今までに聞いたことのない声が口から漏れる。
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