嘘も孤独も全部まとめて
「次のは白菜切ってこの調味料混ぜて炒めるだけだから誰でも上手くできるって。頑張れ、料理初心者」


「――っ、因幡さんのバカ――ッ!」


笑いながら耳たぶにキスを落とされた。

甘やかされてるんだかバカにされてるんだか分からなくなってくる。


「これから頑張って作ればそのうち上手くなるだろ。杏里紗の料理、楽しみにしてる」


その言葉にまた胸が締め付けられた。


今日だけ、なんだよ……。


言葉をぐっと飲み込み、頷く。


「じゃあ、あたしは専業主婦?」


「そうだな。仕事柄いっぱい寂しい思いをさせると思うけど…」


因幡さんの未来にはあたしが居るんだ…。


涙が頬を伝った。
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