嘘も孤独も全部まとめて
※※※



はぁ…。


目の前の重厚な扉を上から下まで眺め、ため息を吐いた。

今まで色々な現場を回ってきたし、直接被疑者と対峙したこともある。

だけど、こんなにも緊張したことはないかもしれない。

ストレスで痛くなった胃を擦り、大きく息を吐いて扉をノックした。


「失礼します」


ドアを開けると、ソファーに座った面々が一斉にこちらを向く。


「刑事課盗犯係、因幡です」


「おぉ、君が因幡くんか。ま、中へ…」


署長に手招きされ、中に入って扉を閉めた。

入り口で待っていると一人がソファーから立ち上がる。
< 296 / 514 >

この作品をシェア

pagetop