嘘も孤独も全部まとめて
「んじゃ住所」


「この下の階」


「歳は?」


「二十五」


「お前、嘘ばっかついてんじゃねーよ」


適当なことばかり言っていたら睨まれた。


「何これ、職質?何でそんなに質問されないといけないわけ?」


「別に俺が知りたいだけだ」


「人に名前を教えてもらいたかったら、まず自分から名乗りなよ」


男がまたため息を吐く。

別に間違ったことを言った覚えはない。


因幡(いなば)(とおる)


「いなば…とおる?偽名?」


「んなわけねーだろ」


どうやら本当らしい。
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