嘘も孤独も全部まとめて
「んんっ、――っ…」


何で?


両頬を包まれ、唇を塞がれる。


何でここに居るの?


「因…幡さ…」


解放されると、目の奥が熱くなり一気に視界が歪む。


「因幡さんっ」


本物の因幡さんだ。


「勝手に居なくなんなよ、バカ」


「いきなり何だよー…。こっちはビックリして心臓止まるかと…」


足から力が抜け、カクンと膝が折れる。


「――っと。大丈夫か?」


ギュッと抱き締められ、因幡さんの腰に両手を回し力の限り抱き締め返した。


「何でここ――」
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