嘘も孤独も全部まとめて
「ねぇ、因幡さん…。あたしまだ未成年だよ」


「そうだな」


『そうだな』って…。


「因幡さんのこと犯罪者にしたくないから離れたんだけど…」


「犯罪って、何のこと?」


鞄を漁っていた手があたしの頬を優しく撫でた。


「安藤さんに言われたんだよ?親の同意がない未成年と付き合ったり結婚することは犯罪だって…」


「親告罪だから、告訴されなけりゃ犯罪にならないんだけどな」


「しんこくざい?こくそ?」


意味が分からず首を傾げると、因幡さんが目の前に封筒を出した。


「開けてみ」


手に取り中に入っているものを取り出すと、そこには『婚姻届』と書いた用紙が入っていた。
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