嘘も孤独も全部まとめて
昨日、テーブルの上に置いたままの三つ折りの用紙。

椅子を引いたので手を離し、座った杏里紗の後ろから覗き込んだ。


「こっち側書いたらいいんだよね」


「ああ」


用紙にはもう記入済みのものがある。

杏里紗はまだ気付いていないようだが。


「えっと……、氏名と住所…。ここの住所でいいの?」


「ここに『住民登録をしているところ』って書いてあるだろ。ここを借りる時に転入届は出したのか?」


「……出してない、と思う…」


「じゃあ、生まれ育ったところが住所だな」


思い出したくもないだろう、子供の頃の住所。

それでも、それと向き合わなければ先に進めない。
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