嘘も孤独も全部まとめて
「因幡さん……ギュッてして?」


両手を広げ、一生懸命泣くのを堪えている。


「よく……頑張ったな」


「…うん」


杏里紗の体ごと全部抱き締めると、俺の首にしがみつき静かに泣いた。


「……さてと…。しんどい作業ばっかりで申し訳ないんだけど、まだ続きがあるんだよな」


俺の言葉に、婚姻届に目をやる杏里紗。


「杏里紗は初めての結婚だから『初婚』にチェックな」


「因幡さんは『再婚』だけどね」


泣きながらも、フフッと笑いを漏らす。
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