嘘も孤独も全部まとめて
「さっきから聞いてりゃ『因幡さん』『因幡さん』って。『透』って呼べって言っただろ」


「ひゃっ!」


服の隙間から指を滑り込ませ腰を撫でると、ビクリと体を震わせた。


「これ全部書いたら覚えとけよ」


『因幡さんって呼ぶたびに一回襲うからな』

その言葉、実践してやる。


「ね。『同居を始める前の夫妻のそれぞれの世帯のおもな仕事と夫妻の職業』って?」


「今どこかで働いてるのか?」


「ん-ん。今は生活保護」


「じゃあ、『仕事をしている者のいない世帯』にチェックして。『妻の職業』は国政調査の年だけだから必要ない」


こんなやり取りをする日が来るなんて思いもしなかった。
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