嘘も孤独も全部まとめて
「ふーん……。えっ…?」


よく分からないと言った感じで曖昧な返事をした杏里紗の動きが止まった。

とうとう気が付いたらしい。


「透……これ……」


婚姻届を両手で持ち、俺の前に広げる。

さっき杏里紗がチェックした欄のすぐ下にある『その他』。

そこには『中野杏里紗の婚姻に同意します』という一文と、『妻の養父』『妻の母』と記名押印された二人の名前。


「杏里紗の実家まで行って書かせた」


俺の言葉に、また大粒の涙を流す。
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