嘘も孤独も全部まとめて
「──っ、は…」


息を整えようと俺から逃げる杏里紗の口の隙間から舌を滑り込ませた。


「んっ…」


俺の服を握り締める手を(から)()り、一本ずつ指を絡ませる。


「とー…る…」


何度抱いても足りなくて。

願わくば、この時間が永遠に続いてほしいと思う。


「もう少しゆっくりしたいけど、今日は昼から出勤しないと」


「え…」


「役所行ったり、県警本部行ったり、杏里紗の地元行ったり、実家に行ったり…。休み使ってだいぶ勝手なことしたからな」


『何があっても、絶対呼ぶなよ!』

そう岡本や戸田達に言って呼び出しを拒否したんだ。
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