嘘も孤独も全部まとめて
「今日は午前半休取ったから昼からは仕事。夜も当直入ってるから、少なくとも明日の朝までは帰ってこれない」


絡ませた指に力が入る。

何度経験しても、この瞬間だけは胸が痛い。


「杏里紗」


「ん、行ってらっしゃい」


潤んだ目にそっと口付けた。


「俺が仕事行く前に、一緒に出しに行こうか」


「何を?」


コイツ…本気で言ってんのか…?


「婚姻届に決まってんだろ」


ギューッと抱き締めると『あ』と声を漏らした。
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