嘘も孤独も全部まとめて
「俺が……無理だったんだ」


手のひらで一生懸命拭ってくれるけれど、次から次へと溢れる涙はこぼれ落ちてあたしの服を濡らしていく。


「じゃあ、そういう状況になったってことだよね?」


二人で飲んでホテルに行って…。


「――っ…」


嫌だ…。


「杏里紗」


「やだ…」


「……ごめん」


身動きができないぐらい、ギュッと抱き締められる。


「何でっ…」


何で否定してくれないの?


その時の二人を想像したら、体が引きちぎれるんじゃないかって思うほど苦しくなる。
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