嘘も孤独も全部まとめて
「風呂入ってくるから適当に食っとけよ」


「んー」


そう言って部屋を出ていく男の後ろ姿を見送る。

こんなに男から相手にされなかったことなんて初めてだ。


何か……ムカつく…。


腹が立ってきて、備え付けのクローゼットを開けた。


何かないかな。


使えそうなものを探す。

黒やグレーのスーツが何着か並んで掛かっている他は、何もない。

その下にある引き出しを開けると、タオルや下着が入っていた。
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