嘘も孤独も全部まとめて
「…昔の話でも……嫌だ…」


こんなの、ただの八つ当たりだ。

だけど過去の二人さえ嫉妬してしまう。


「ごめん」


あたしの肩を抱く透の指に力が入った。


「杏里紗が逃げられなくて苦しんでる間…何で助けてやれなかったんだろうって…。その時その場に居たら、絶対ボコボコにしてでもそこから連れ出せたのにって…。今日食べるものや泊まるところを確保するために知らない男に体を開いてきたんだろうなって…。色んなことに耐えてきた苦しみや悲しみをを考えたら、何て浅はかなことしたんだろうなって…。今……めちゃくちゃ後悔してる」


――透…。
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