嘘も孤独も全部まとめて
※※※



「ご結婚おめでとうございます」


婚姻届の内容を見て、何か言われるんじゃないかと身構えていたのに、役所の窓口の人はあっさりと受け付けてくれた。


「……何か…、拍子抜け…」


「そんなもんだろ」


「さすが二回目!」


「違う!…って、何が違うわけでもないけど」


調子に乗って拍手をすると、後ろからペンと頭を叩かれた。


「あたしも今日から『因幡』なんだ…」


『婚姻届受理証明書』と書かれた用紙を広げる。

そこには『夫 因幡 透』『妻 中野 杏里紗』と書かれていた。
< 342 / 514 >

この作品をシェア

pagetop