嘘も孤独も全部まとめて
「…これ…」


左手の薬指には、綺麗なダイヤモンドが埋め込まれた指輪が光っている。


「籍入れたのが先になったけど…婚約指輪。結婚指輪は結婚式の時にな」


「嘘…」


「『嘘』って何だよ」


「…もらっていいの…?」


嬉しさよりも驚きの方が大きくて。

思わず泣くかと思ったけれど、どうやら引っ込んでしまったらしい。


「結婚するんだから当たり前だろ」


「えー、でも結婚するなら結婚指輪でいいじゃん。こんなに高そうなの…申し訳ないよ」


「悪いけど返品不可だから。それにそんな高くないから気にすんな」


高くないって…。


左手に光る指輪を間近で見た。
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