嘘も孤独も全部まとめて
服も全然ないじゃん。


殺風景な部屋と同じで、服もTシャツやジーパン、ジャージが何着かあるだけだった。


「お前はそうやって、人の物を勝手に物色するのが趣味なのか?」


突然声を掛けられ動けなくなる。

首を回すと、風呂に入ってくると言っていた男が部屋の入り口に立っていた。


「お風呂って…」


「もう入った」


『もう』って、五分ぐらいしか経っていないはず。


「ちゃんと洗ってんの?」


「お前に心配されなくても、ちゃんと洗ってる」


ずかずかと歩いてあたしの目の前に立つ男。
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