嘘も孤独も全部まとめて
「ねえ」


透の後を追いかけた。


「ん?」


あたしの表情を見て何か感じたのか、眉を下げ首を傾げる。


「何か言いたいこと、あるでしょ」


何か腹立ってきた。


「何もないよ」


「嘘だっ!絶対何かある!言わないだけでしょ!」


どうして隠すの?


また目の奥が熱くなる。


「杏里紗」


頬に触れる透の手。

長くて温かい…いつもの優しい手だ。


「ごめん。夜はいつも食べないんだ…。それが顔に出てたんだな」


そっか…。

余計なお世話…だったんだ…。


ぐにゃりと歪む視界。

気が付けば、涙が次から次へと頬に落ちてくる。
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