嘘も孤独も全部まとめて
「ホントに……。泣き虫だな、お前は」


「だって……」


「食べるよ。杏里紗が俺のために作ってくれたんだから」


「いい…。別に食べなくても…」


「そうやってすぐにふて腐れる」


顔中に触れる透の唇。


「ご機嫌取りしてくれなくていい」


透から逃れようと、両手で抵抗した。


違う…。


ご飯を作って待っていたのはあたしの勝手。

透は何も悪くない。

それなのに勝手に落胆して、疲れて帰ってきた透に当たるとか…。


最低だ――。


「杏里紗」


「……」


「杏里紗」


「……」


何も答えようとしないあたしから離れて部屋に入ってしまった。
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