嘘も孤独も全部まとめて
そのままキスをしようとしたら、両手で口を押さえられ阻止される。


「もおっ!帰ってきたら、先に手洗ってうがいしてきて!」


「何だよ、母親みたいだな」


杏里紗の両手首を取って引き剥がし思わず笑うと、ムスーッとした顔になった。


「どうした?」


「あたし、透の母親じゃないし」


プクッと膨れそっぽを向く。


「はいはい、俺の嫁ね」


今度は耳まで真っ赤になった。


面白いな。


「杏里紗――痛っ!」


「あ、ごめん……何?」


俺の胸に頭突きしたかと思うと、腕の中でモゾモゾ動く。
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