嘘も孤独も全部まとめて
「クリスマスはいつも一人だったもん。あたし以外の人間は皆幸せに見えたし」


「今年は俺が居るから」


「ん」


俺の腰に両手を回し甘えるように顔を擦り付ける杏里紗。

その仕草が可愛くて、自制心を保つのに必死だ。


「それと――」


なるべく意識を違うところに持っていこうと杏里紗の頭頂部に顎を乗せ、目を閉じた。


「急ぎになるけど、結婚式…しようと思ってる」


「えっ!」


「――った…」


勢いよく上げた杏里紗の頭が顎を直撃する。


「ごめんごめん。だって透がビックリするようなこと言うから」


「――っ…」


二回目…。


今のは結構痛かった。
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