嘘も孤独も全部まとめて
あ――っ、もぉっ…。


足が限界で一度立ち止まる。

靴を脱いで踵を見ると、血が滲んでいてストッキングが赤く染まっていた。


……最っ悪。

せっかくの透とのディナーなのに…。


悲しくなってきて胸の辺りがモヤモヤする。

透と一緒に居るようになって、本当にこれが自分なのかと思うほど些細なことで落ち込んだり悩んだり泣いたり…。


あたしも乙女だったんだな。


顔を上げ周囲を見回した。

世間は悲しいぐらい他人に無関心で、誰も立ち止まってはくれない。


よしっ、とりあえず頑張って歩けるところまで歩いてタクシー見つけるか。


大きく息を吐き、靴を履いて歩きだした。
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