嘘も孤独も全部まとめて
※※※



店の前に着くと『close』と書かれた看板がぶら下がったチェーンポールが立てられている。


「すみませーん!」


入口で叫ぶと、中から女の店員が出てきた。


「はい?」


「えっと……。今日、ここで予約してた因幡…なんですけど…」


「はあ…」


ものすごく困ったように眉を寄せる店員。

そりゃあ、そうだと思う。

閉店時間は二十三時で今は零時四十分。

呼んですぐに店員が来てくれたことの方が奇跡に近い。


「えっ……と、あの…。仕事で来れなくなってしまって……。嫁を一人で待たせていたんですが、その後どうしたかご存知ですか?」


「あ、ああ…」


何度も頷く。
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