嘘も孤独も全部まとめて
「えっと……。こちらのお客様が……」


俺の方をチラリと見た後、俯いてしまった。


「失礼ですが、お客様。当店の営業時間は終了しておりまして…。どういったご用でしょうか?」


さすが、高級ホテルのレストランバーの店長とあって物腰は柔らかいが口調はきつい。


「今日この店で予約していた因幡です。仕事の都合で閉店時間に間に合わなくて。嫁が一人でこの店に居たはずですが、その後連絡が取れなくなったので何か分かればと思いまして…」


負けじと俺も言い返す。
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