嘘も孤独も全部まとめて
「すみません、因幡ですが…」


「はい、承っております。少々お待ち下さいませ」


フロントで声を掛けると、スタッフが目配せをする。

一人が奥に入ったかと思うと、髪の毛をオールバックにした(いか)つい男が出てきた。


「お待たせいたしました。総支配人の田口と申します」


「あ、どうも…」


挨拶をしたところで、突然スマホが震え始める。

画面には刑事課長の名前。


こんな時間に何だ?


「ちょっと…すみません」


手を挙げて断ると、スタッフが軽く頭を下げた。
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