嘘も孤独も全部まとめて
「はい、因幡です」


『おいっ!お前、一体どこで何やってんだ!!!』


耳が潰れるかと思うほどの大声量。

思わず耳からスマホを離した。


『今、何て名前か知らないがホテルから電話があったって、署から電話が入ったぞ!お前、刑事課の名前使って何やってんだ!事によっちゃタダじゃ済まさないからな!!』


手に持つだけでも何を言っているか丸聞こえ。

カウンターを挟んで立つスタッフ達も、皆苦笑いしている。


「すみません。今、嫁が行方不明になってまして…」


『ああん?結婚式前なのに逃亡か?お前、何やらかしたんだ』


このクソジジイ!


死んでも口に出せない言葉を心の中で叫んだ。
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