嘘も孤独も全部まとめて
「夜分遅くに申し訳ございません。少々確認させていただきたいことがございまして」


「確認…って?」


「女を連れ込んでるだろ」


支配人と立花のやり取りの中に割り込む。


「誰?」


俺を見上げ、首を傾げた。

宿泊者名簿には四十五歳と書いてあったが、童顔のためか十歳近く若く見える。


「独身なんだし、別に女と一緒に居てもいいじゃないか。彼女は約束を反故(ほご)されたみたいだし、ずいぶん酔っ払っていたから心配でね。どうせだから、部屋を使ってもらおうと思っただけだよ」


「反故したわけじゃない」


そう言ってみたけれど、約束を守れなかったことには変わりない。
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