嘘も孤独も全部まとめて
「え?嘘」


俺の後ろに立つ支配人を見たのか、俺から後ろに視線をやる。


「私どもも確認させていただきました。警察官で間違いございません」


支配人の言葉に、丸い目をもっと丸くした。


「……降参」


両手を挙げ、部屋の奥へと後ずさる。

立花を押し退けるようにして部屋の中に入り、間取り図で見たベッドルームへと急いだ。

クイーンサイズの天蓋付きのベッド。

その真ん中で、膝を立てて眠る杏里紗の姿。

服を着ていることに安堵する。


「まだ何もしてないよ」


「まだ?!」


背後で聞き捨てならない言葉が聞こえ、勢いよく振り返った。
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