嘘も孤独も全部まとめて
「おや。それじゃあ、僕には常識がないみたじゃないか」


「人の嫁を連れ込む時点で、常識人とは思えないけどな」


俺の言葉にペロッと舌を出し、おどける立花。


「とりあえず僕は失礼するよ。素敵な夜を」


黒色のロングコートを羽織り白いマフラーを首に巻き付けた立花が、黒のフェルトハットを頭に乗せ、笑いながら手を振った。

後ろ姿を見送っていると、立花と支配人の声が聞こえる。

内容は分からないが、少しだけ会話を交わしたらしく、その後ドアの閉まる音がした。


杏里紗…。


相変わらず同じ姿勢をしたままの杏里紗を抱きかかえて布団の中に入れ、その隣に潜り込むとそのまま眠りについた。
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