嘘も孤独も全部まとめて
「……何だ…、そのことか…」


「『何だ』とは何だ。俺は真剣に――」


「もっと、何か別の聞きたくないことでも聞かされるのかと思った」


ふふっと笑うと、透も表情を緩める。


「聞きたくないことって、何だよ」


「んー?籍入れたばっかなのに離婚とか…」


「んなわけねーだろ、バカ。……杏里紗は俺の傍に居たいって言ってくれたけど、仕事柄これから何度もこんな思いをさせるから申し訳ないな…って」


「そりゃ寂しいよ。透のバカ、って何回も心の中で怒ったし」


「…ごめん」


「でも、こうやってあたしのとこに帰ってきてくれるじゃん」


目が覚めたら透が居る。

それが一番の幸せだ。
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