嘘も孤独も全部まとめて
「何で……透の初めてが…あたしじゃないんだろ…って……。彼女になるのもっ…結婚……するのも……。全部全部っ…、あたしがっ…一番が良かっ……」


しゃくり上げて泣く杏里紗。

気持ちは痛いほど分かる。

俺だって、これだけ杏里紗が傷付くのなら、過去に戻って高校時代からやり直したい。


杏里紗の好きになった相手が彼女みたいに初恋だったら、こんなに苦しい思いをすることはなかったんだろうか。


「……結婚…しない方が良かったか?」


「やっ…、やだっ…。それはもっとやだ」


「俺以外の奴との方が幸せになれたんじゃないのか」


自分に言い聞かせるように呟いた。
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