嘘も孤独も全部まとめて

「――んで…、そんなことゆー…の？」


「俺のせいで杏里紗を苦しませたくない」


お湯に濡れた手で頬を流れる涙を拭う。

何の意味もないかもしれない。

それでも、俺の過去が杏里紗を苦しませているのなら、少しでも違う何かを見つけてやりたい。


「透がいい…。透と一緒じゃなきゃ……幸せになったって…意味ないもん…。気にするなって言われても、何かあるたびに前の奥さんの時はどんな風だったのか…とか気になるし……、絶対……自分と比べちゃう…。いっつも、何か……身体中がぐちゃぐちゃになりそうな感じになるし、苦しくて苦しくて…どうしようもないほど不安になるの…。でも……透じゃないとやだっ…」