嘘も孤独も全部まとめて
「あー、もうっ!――何で…」


何でそんなに可愛いこと言うかな…。


杏里紗をギュッと抱き締める。

付き合う前の…突き放そうとした時のように、何とか自分の気持ちに折り合いをつけようと考えてみたりもした。

だけど一度動かした気持ちは、自分が想像していたよりずっと大きかったみたいだ。


「過去をなかったことにはできない…。だから、これからも何かあるたびにそんな風に泣かせるかもしれない…」


「ん…。でも、透のこと好きな気持ちの方がおっきいから…。あたし…鬱陶しい…?」


「んなわけねーだろ」


視線を窓の外に移した。

すっかり夜は明け、太陽の光が都会のビル群に降り注いでいる。
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