嘘も孤独も全部まとめて
「杏里紗」


「ん?」


「……前の嫁との話、聞くか?」


どう転ぶか分からない。

けれども、何も話さないで不安にさせるならすべて話してしまった方がいいような気がした。

杏里紗が真一文字に口を結ぶ。


「隠すことでもないし、それで杏里紗の不安がなくなるなら…」


「……聞きたいと言えば聞きたいし、聞きたくないと言えば聞きたくない…かな…。でも……どっちかと言えば、聞きたい…」


「じゃあ、上がるか」


言葉を選びながら話す杏里紗のおでこにキスを落として杏里紗を抱きかかえ、湯船から出た。
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