嘘も孤独も全部まとめて
「ないって。杏里紗が初めてって言っただろ」


「……嘘つき」


ふわふわのバスタオルで俺の顔を思い切り擦る杏里紗。

柔らか過ぎて体についた水分が取れている気がしない。


「嘘じゃない。女と付き合ったのも前の嫁が初めてだから、他にこんなことしたことない。信じるか信じないかは杏里紗に任せるけど、絶対に――」


「それは本当かもしれないけど、他に何かあるでしょ!……隠さないでよ…」


唇を噛み、俺を睨む。


「あたしのことを思って嘘ついてくれてるのかもしれないけど……。透のこと……信用できなくなる…」


知らない方がいいこともある。
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