嘘も孤独も全部まとめて
「前の奥さんが全部初めてだったんなら、それを全部上書きする!全部全部あたしとの思い出に塗り替えて……。それから――…あたしとの思い出作ってくの!」


「杏里紗…」


「あたしの知らない透が居るのはヤダ…」


俺の首に飛びついてきた。


「ん。分かった」


頬に右手を添え、短いキスを繰り返す。


「迷惑?」


熱い息を吐きながら、犬のような視線を向けてくる。


「迷惑じゃねーよ」


短いキスはお互いを確かめ合うようにどんどん深くなり、ほんの少しの時間でも惜しむようにお互いの体を求め、長い時間をかけて過去から今までのことを話した。
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