嘘も孤独も全部まとめて
「今日の夜覚えとけよ」


「えっ!」


それが何を意味しているのか、すぐに分かった。

透に出会うまでは、泊まる場所と食べる物の確保のために色々な男と寝てきたけれど、誰かと繋がることに何かしらの想いを抱いたことはなかった。

その日、次の日、またその次の日――。

毎日を生きていくために体を差し出せば、簡単に食事代と宿泊代がタダで済ませられる。

相手も、お金を出せば若い女が抱ける。

お互いに利害が一致した、それだけの関係。

若い女の体は最高の武器。

使わないなんてあり得ないし、こんなに楽で便利なものはないと思っていた。
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