嘘も孤独も全部まとめて
「んっ……、む…」


何かを喋ろうとした杏里紗の口の中に舌を滑り込ませ、舌を絡め取る。


「……ふ、んっ…あ…」


「ちょっ……、因幡…さん?もしもーし?」


体から力が抜けたのか、俺に凭れかかる杏里紗の頬や耳たぶに唇や舌を這わせていると、戸田が声を掛けてきた。

視線だけで戸田を見下ろすと、手をパタパタ振りながらドン引きしたような表情で俺を見上げている。


「はぁ…っ。……何だ?」


杏里紗から唇を離して大きく息を吐き、俺の胸に倒れ込んできた杏里紗の後頭部を隠すように抱え込んでから返事をした。
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