嘘も孤独も全部まとめて
「公衆の面前で何やってんですか。酔いもいっぺんに冷めてもーたし…」


「見たいならもっと見せてやるけど?」


俺の言葉に、杏里紗が俺の服をギュッと握り締めたのが分かった。


「うえーっ…。こんなとこでイチャつかんとってくださいよー」


「お前のせいだろ」


「すいませーん…。ちょっとした悪ふざけのつもりやったんですよ?でも、意外に険悪な雰囲気になっちゃったからどうしようかと思って…。でも、何もそこまでせんでも……」


「杏里紗はな、こう見えて結構繊細なんだよ。ちゃんと謝れ、バカ」


『こう見えて』は余計だったか。


そう思いつつ、少しでも杏里紗の不安を取り除きたいと思う。
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