嘘も孤独も全部まとめて
「アリサちゃーん、ごめんなー」


戸田の声掛けにも顔を上げず、俺の服を掴んだままの姿勢でピクリとも動かない。


「おい、ちゃんと謝れ。土下座しろ」


「ちょっ…、そこまで言わなくてもいいじゃん!」


沈黙していた杏里紗が勢いよく顔を上げた。


「やっとこっち向いた」


「だって……」


「『だって』、何?」


「……女の人に土下座とか…、そんなこと言っちゃ…ダメじゃん…」


知り合った頃と比べ、態度や言葉遣いがだいぶ変わったと思う。


「悪ふざけだとしても、俺と杏里紗の仲を引き裂こうとしたんだぞ」


「……そのぐらいじゃ…」


口の中で何やらボソボソ話しているらしい。
< 490 / 514 >

この作品をシェア

pagetop