嘘も孤独も全部まとめて
「『お母さん、助けて』って、泣き叫んでて……。でも、彼氏の暴力が怖くて…。娘が目の前で犯されてても、可哀相と思うより自分が殴られないように知らない振りをする方が、私にとっては大事だったんです…」


透の服を握り締める。

寒くもないのに身体中がガタガタ震え、足で立つ力もなくなってきた。

あの頃のあたしが、心の中で何度も『お母さん、助けて!』って泣き叫んでいる。


「――っ…」


突然ギュッと抱き締められた。

全身を包まれ、苦しいぐらい透でいっぱいになる。


大丈夫――。


そう伝えてくれているんだと思った。
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